薬剤 性尿細管 アシドーシス
「日米腎臓内科ネット活動ブログ」で腎臓に関する話題を中心に書いています。「日米腎臓内科ネット」は、腎臓内科における臨床教育、研究、移植の発展に興味を持つ日米の医療関係者が、メーリングリストやブログ、セミナーなどを通じて情報交換をしていくことを目的とした団体です。米国NY生まれ。10歳で日本へ戻り帰国学級でリハビリ後、何とか大学を卒業。防衛医科大学校病院などで研修をし、2006年にN programのサポートを得てNYの Long Island College Hospitalで内科研修、2009年からMedical U of South Carolinaで腎臓内科研修中。日米腎臓内科ネットメンバー。RTAは腎臓が原因で酸が蓄積し高Cl性の代謝性アシドーシスをきたす病態です。1から4型までありますが、本によっていろいろな書き方をしていますが自分なりに重要なポイントだけまとめます。2型RTAは近位(proximal)RTAとよばれ2番目に発見されたためその名前がついています。糸球体でろ過されたHCO3-は通常ほとんどが近位尿細管で再吸収されます。ところが遺伝的にHCO3-の再吸収にかかわるトランスポーターに異常がみられたり、薬剤やlight chain(多発性骨髄腫)などが原因で尿細管障害をきたすとHCO3-の再吸収が正常に行われなくなります。これが2型RTAの原因です。具体的には血漿HCO3-が約15 mmol/L以下にならないと尿細管でのHCO3-の再吸収が起きなくなります。したがって、慢性の2型RTAでは尿中にHCO3-は見られませんが、重曹などで血漿HCO3-を上昇させると尿中にHCO3-が出現します。このHCO3-は遠位尿細管で取り込まれ、代わりにKが分泌されるのでHCO3-を投与したときのみ低K血症が見られるのも特徴です。一方1型RTAはH+の代わりにK+が多く分泌されるため低K血症が見られます。ではUAGはどうでしょうか?HCO3-はNH4+と結合するためProximal RTAでは UAGの測定はあまり意味がなくなります。重曹投与などで尿中にHCO3-が出現するときとそうでない場合があるからです。次回はCKDと4型RTAについてです。T.S 先天性(遺伝性)と後天性がある。

尿細管でのHCO3-再吸収が低下しているため遠位尿細管に多量のHCO3-が流れ込みNa+、K+の排泄も促されるため低K血症を合併する。遠位尿細管でのNH4+が保たれているので高度なアシドーシスにはならず血漿[HCO3-]14 東京女子医科大学 腎臓小児科 講師三浦 健一郎 先生尿細管性(にょうさいかんせい)アシドーシスは、腎臓の尿細管の異常が原因となって血液が酸性に傾く状態が引き起こされる疾患です。それにより水を飲む量が増えて多尿になる、筋力が低下して力が入りにくくなる、乳児の場合は体重が増えないといった、さまざまな症状が現れます。また発症の原因は遺伝子の異常、他の疾患、薬剤の副作用など多岐にわたります。今回は血液が酸性に傾いた状態を代謝性アシドーシスといいます。人の体は本来、血液pH(血液中の酸とアルカリのバランス)が一定になるよう調整する性質を持っていますが、腎臓の尿細管の異常などによりバランスが崩れることがあります。腎臓は、血液中の老廃物をろ過して尿を生成したり、酸とアルカリのバランスを保ったりして、さまざまな役割を果たしている臓器です。尿細管は、腎臓のなかに約100万個あるネフロンという組織の一部で、体に必要な成分の再吸収や不要な成分の排出を担っています。尿細管は血液をろ過する糸球体(しきゅうたい)から遠い位置にある遠位尿細管(えんいにょうさいかん)と、近い位置にある近位尿細管(きんいにょうさいかん)という部分に分かれています。尿細管性アシドーシス(renal tubular acidosis; この記事では、尿細管性アシドーシスのなかでも代表的な遠位尿細管性アシドーシス(Ⅰ型RTA)、近位尿細管性アシドーシス(Ⅱ型RTA)について解説します。なお、Ⅲ型RTAとされていた疾患は重症化したⅠ型RTAであることがわかっています。先天性(遺伝性)のまた遺伝性の遠位尿細管性アシドーシスの症状が現れるのは多くの場合で小児ですが、なかには成人してから発症する方もいます。発症する時期の差は遺伝子の違いによるものと考えられています。後天性の遠位尿細管性アシドーシスは多くの場合、薬剤の副作用として発症します。遠位尿細管性アシドーシスが発症する原因になりやすい薬剤は、気分安定薬のリチウム製剤や、抗生物質のアムホテリシンBなどが知られています。リチウム製剤は多尿となる遠位尿細管性アシドーシスは、尿細管性アシドーシス以外の疾患が原因となって発症することがあります。たとえば近位先天的な近位尿細管性アシドーシスは、他の遺伝性疾患からファンコーニ症候群が誘発されて起こる可能性があります。代表的な疾患は、近位尿細管機能障害などが起こる「ロウ(Lowe)症候群後天性の近位尿細管性アシドーシスは、主に薬剤の副作用として生じたファンコーニ症候群が原因となって起こります。ファンコーニ症候群が発症する原因になりやすい薬剤は、抗けいれん薬(抗 次の記事2 尿細管性アシドーシス(RTA)の症状・検査・治療尿細管性アシドーシス (三浦 健一郎 先生)の連載記事東京女子医科大学 腎臓小児科 講師東京女子医科大学 腎臓小児科 講師1999年に東京大学医学部を卒業後、亀田総合病院小児科、神奈川県立こども医療センター感染免疫科シニアレジデント、東京女子医科大学病院腎臓小児科などを経て、2016年より東京女子医科大学腎臓小児科にて講師を務める。難病や希少疾患を含めた小児腎臓病分野の第一線で活躍を続ける。三浦 健一郎 先生の所属医療機関東京女子医科大学病院東京都新宿区河田町8-103-3353-8111新型コロナウイルス感染症と付き合っていくための"新しい生活様式"とは〜まだマスクの着用は必須なの?個人が気をつけられる具体策は?〜小泉小児科医院 院長/日本医師会 常任理事釜萢 敏 先生がん患者や家族の新型コロナウイルス感染症への不安〜不安を抱えたがん患者に対して家族ができることは?〜がん研究会付属有明病院 腫瘍精神科 部長清水 研 先生社員に新型コロナウイルス感染症の疑いが出たらどうするの?~企業が行うべき感染対策とは~日本医師会 常任理事/松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長松本 吉郎 先生医師が考える新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高い高齢者が注意すべき点とは国立長寿医療研究センター 理事長、日本老年医学会 副理事長荒井 秀典 先生「尿細管性アシドーシス」を登録すると、新着の情報をお知らせします処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しくださいよく検索されているキーワード「受診について相談する」とは?まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。最終更新日受診について相談する東京女子医科大学 腎臓小児科 講師「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。 東京女子医科大学 腎臓小児科 講師三浦 健一郎 先生今回は尿細管性アシドーシスの症状・検査・治療について、東京女子医科大学腎臓小児科講師 三浦健一郎先生にお伺いしました。遠位遺伝による遠位尿細管性アシドーシス(Ⅰ型RTA)の主な症状は、乳児期の成長障害です。哺乳不良*やそれに伴う体重増加不良がみられます。また尿濃縮力*の異常により、水を飲む量が増えて多尿になる(多飲多尿)ため、ほとんどの患者さんはおねしょが長引きます。成人してから発症した場合には、筋力低下や、電解質異常*の1つである無治療の場合は骨にまで影響が及び、遠位尿細管性アシドーシスの患者さんは、正常な人と比べて腎機能の働きがよくないといわれています。腎石灰化や腎結石の起こる方が多く、腎機能の状態には長期的に注意する必要があります。腎結石症が起こって、腎臓にできた結石が移動して尿管(にょうかん)に詰まると、わき腹に激痛が生じることがあります。遠位尿細管性アシドーシスの患者さんに腎石灰化が起こる確率は明らかになっていません。遺伝子解析が行われるようになり10年~20年程度しか経っていない昨今、小児の頃に診断を受けた方が40~50歳になるまでフォローされているケースがまだ少ないためです。また、腎石灰化や腎結石症と診断されている方や、腎臓機能が悪く透析治療を行っているような方のなかに、まだ診断されていない遠位尿細管性アシドーシスの患者さんがいる可能性はあります。家族に腎結石や先天性の遠位尿細管性アシドーシスではこの他に、近位近位尿細管性アシドーシスは先天性・後天性に関わらず、多飲多尿や、近位尿細管性アシドーシスは、薬剤の副作用によって一時的に生じることがあります。多くの場合は投薬の中止によって症状が改善します。特にバルプロ酸などの抗けいれん薬による副作用の場合はほとんど症状を取り除くことが可能です。ただし、抗がん剤治療を行っている方の場合、投薬を中断することができないまま尿細管性アシドーシスが進行し、末期ただし、他の疾患と比べて尿細管性アシドーシスの診断は遅れる可能性があります。血液ガスは基本的な検査ではありますが、病院でつねにデータが取られる項目ではありません。赤ちゃんに重篤な症状がみられるときには診断がつくまでさまざまな検査を実施するため、疾患が見逃されることはあまりありませんが、症状が穏やかな場合には検査を急がないこともあります。赤ちゃんの体重増加不良が長期的に続くなど明らかな異常がみられるときには、必ず医療機関を受診するようにしてください。尿細管性アシドーシスは、特徴的な症状が現れて初めて診断につながる疾患です。後天的には薬剤の副作用で発症することがわかっていますが、投薬の時点から発症を予測することは難しく、通常は副作用よりもその薬剤による治療効果の利益のほうが上回ると考えられるからです。遺伝による発症の場合は根本的に原因をとり除くことができないため、生涯にわたって治療が必要となります。薬剤の副作用による一時的な発症であれば、服薬の中止が原因を取り除くことにはなりますが、薬剤性でも基本的には対症療法で症状の改善を目指します。なお、腎臓に結石が生じている場合は泌尿器科、アルカリを補充するためには、炭酸水素ナトリウムやクエン酸などの薬剤が用いられます。遠位尿細管性アシドーシスでは、特に結石予防の効果を持つクエン酸がよく選択されます。クエン酸のキレートという作用が、結石の原因となるカルシウムを取り除くためです。クエン酸にはカリウムも含まれており、電解質の補正も同時に行うことができます。また、結石予防には水分をしっかり摂取することが効果的です。尿細管性アシドーシスの治療薬はごく一般的な飲み薬です。粉薬と錠剤のどちらを服薬するか選択することができます。飲みやすい薬剤が普及していなかった頃は、アルカリを水に溶かして治療用の特別な溶液を作るなど工夫されていましたが、現在は飲みやすくなっています。女性にとって気になるポイントですが、尿細管性アシドーシスは遺伝する可能性がある疾患です。自身のお子さんに疾患が遺伝するかもしれないとき、気になる方は遺伝カウンセリングを受けるとよいでしょう。遺伝カウンセリングでは、遺伝に関するあらゆる情報提供や、疑問や不安に対するサポートが行われており、出産後の見通しや遺伝子検査などについて相談することができます。遺伝子検査では、尿細管性アシドーシスの患者さんが持つ遺伝子が優性遺伝*と劣性遺伝*のどちらであるかについて調べることができます。優性遺伝の場合はお子さんに遺伝する可能性があり、劣性遺伝の場合に遺伝することはまれです。また、尿細管性アシドーシスを発症しているお子さんをもつ親御さんが次子を希望する場合、遺伝子検査によって、次子にも病気が発症する可能性があるのかどうかということと、その確率を知ることができます。遺伝子検査はどこの病院でも受けられるわけではありませんが、患者さんの希望に応じて実施が可能です。 前の記事1 尿細管性アシドーシス(RTA)とは?尿細管性アシドーシス (三浦 健一郎 先生)の連載記事東京女子医科大学 腎臓小児科 講師東京女子医科大学 腎臓小児科 講師1999年に東京大学医学部を卒業後、亀田総合病院小児科、神奈川県立こども医療センター感染免疫科シニアレジデント、東京女子医科大学病院腎臓小児科などを経て、2016年より東京女子医科大学腎臓小児科にて講師を務める。難病や希少疾患を含めた小児腎臓病分野の第一線で活躍を続ける。三浦 健一郎 先生の所属医療機関東京女子医科大学病院東京都新宿区河田町8-103-3353-8111新型コロナウイルス感染症と付き合っていくための"新しい生活様式"とは〜まだマスクの着用は必須なの?個人が気をつけられる具体策は?〜小泉小児科医院 院長/日本医師会 常任理事釜萢 敏 先生がん患者や家族の新型コロナウイルス感染症への不安〜不安を抱えたがん患者に対して家族ができることは?〜がん研究会付属有明病院 腫瘍精神科 部長清水 研 先生社員に新型コロナウイルス感染症の疑いが出たらどうするの?~企業が行うべき感染対策とは~日本医師会 常任理事/松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長松本 吉郎 先生医師が考える新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高い高齢者が注意すべき点とは国立長寿医療研究センター 理事長、日本老年医学会 副理事長荒井 秀典 先生「尿細管性アシドーシス」を登録すると、新着の情報をお知らせします処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しくださいよく検索されているキーワード「受診について相談する」とは?まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。最終更新日受診について相談する東京女子医科大学 腎臓小児科 講師「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。