中の人 A 銃砲店
©2020 ヒロポン さて、銃所持許可への道のりが少しずつ近付いてきました(筆記試験終了! これから射撃教習です)。そこで、実際に銃砲店に行って、生の情報を聞いてみることに!初めての銃砲店。そこはどんなところなのでしょうか? またどんな話を聞けるのでしょうか? 銃砲店はこれまで2店舗しか見たことがありません。うち1店舗は外から見ただけ。やっぱり「入りやすい」ってことはないですよね。以前、別の銃砲店の近くに行く機会があったので、冷やかし半分に入ろうかと思ったのですが、どうも入りにくく、「まあ、いいや」とその場を去ってしまいました。今回も、銃砲店の前を1度素通りし、中の様子を見てから、意を決して戸を開けたことを白状します。中は8畳程度の小さなお店。店の片側はガラスケース。中には上下・水平・自動・ボルトなど、どれもステキな彫りの入った銃が並んでおり、ガラスケースの外は帽子やサングラス、ベストなどが雑多に積み上げられています。そして中央にはテーブルひとつに椅子が4脚……。どうみてもウィンドウショッピングを楽しむお店ではなく、店員と話をしながら買い物をするタイプのお店。行ってみれば、車のディーラーのような雰囲気です。「あら!」と奥から顔を出したのは意外にもお姉さん。「銃を始めるんですか!?」初心者丸出しなのか、あるいは年齢のせいか、初めて見る顔だからか、「これから始める人」ってことはひと目でバレてしまいました。「そうなんですよ。最近、筆記試験に合格したので、そろそろ銃の購入を考えようかと……」1分ほどで店主が登場です。髭を生やしたおじいさんみたいな人が出てくるものだと勝手に思い込んでいたのですが、出てきたのはとっても普通のおじさん。「猟始めるの?」ってな具合に和気あいあいとした雰囲気で雑談が続きます。最初に「今日は買う気はなくて、あくまで情報収集が目的です。購入は射撃講習が終わってからですね」と伝えておいたからか、(実は心配していた)売り込み攻撃などはまったくありませんでした。 「どんな銃を買うかは考えてるの?」店主のおじさんが切り出してくれて、銃の話が始まりました。「まだ決め切れてないんですけど、自動銃かボルトアクションのどちらかだと思っています。四つ足狙いなので、スラッグかサボットが撃てる銃がいいです」「でも、鳥もやるんじゃないの?」「そうですね。メインは四つ足でも、やっぱり鳥もやりたくなる気がします」「猟ってさ、始める前と後じゃ、変わってくるもんなんだよ。初めは『四つ足を!』って思ってても、始めてみたら鳥の方がおもしろくなってみたり、その逆もあるし、それどころか射撃にハマっちゃう人もいるしね。わたしは店主の言葉が腹に落ちました。じつは憧れとして『単独忍び猟で、遠くに見える獲物をボルトアクションで撃つ』という姿を思い浮かべることが多いんです。しかし、いくら四つ足四つ足と言っても、鳥もやることになると思うし……。そんな気持ちを見透かされた気がしました。「最初から2挺って人もいるけど、銃に慣れないうちは1梃の銃を使い込んで、よく理解した方がいいんじゃないかな」なるほど~。と考え込んでしまいました。「何を買うかはおいておくとして、ボルトアクションってどうなんでしょう? 自動銃に比べて『当たる』とは聞くのですが……」 店主は店の奥から2本の銃身を持ってきました。「ほら、2本の銃身の中を見てみな。1本は中に穴が開いているだろ? これが自動銃なんだよ。自動銃はここから発射のときのガスを排気して、その圧力を使って、ガチャンと次の弾を装填するわけだ。それはわかるかな?」「はい」「ということは、発射時のガスが逃げているとも言えるわけで、それが理由で遠くを狙ったときにまとまりが悪くなるんだよ。しかもそれが天気・気温・弾の種類・銃の角度なんかによっても違ってきちゃうもんだから、どうしても遠くの命中精度が悪いってわけ。一方、ボルトアクションは余計な排気がないから、発射時のガスは全部発射に使われるというわけ。だから遠くの命中精度はいいよね。もし『北海道でエゾシカ猟を』って考えてるんならボルトアクションがイチオシだけど、本州ならもっと近いことが多いから、自動銃でいいと思うけどな」 わたしはネットの情報もすごく役に立つと思っているタイプですが、やっぱり実際に顔を付き合わせて得られる情報というのは貴重だと感じました。猟って地域性がすごくあって、大雑把な違いとして「北海道とそれ以外」という話題が今日もありましたが、もっともっといろんな地域でいろんな違いがあるんだと思います。たくさん歩く猟場もあれば、道路からアクセスのいい猟場もあるでしょう。イノシシが多い猟場も、シカが多い猟場も、ハンターが多い猟場も、少ない猟場も、開けた猟場も、鬱蒼とした猟場も……、また文化的に「この辺ではこうやって猟をやる」という違いもあるだろうと思います。「自分のやりたい猟」をやることも大事ですが、こういった地域性を楽しむことも一興だと思います。そのためには実際に自分が猟をする場所をよく知った人に教えてもらうのが近道なんだな、と改めて実感しました。もしまだ銃砲店に行ったことがない人は、ぜひ行ってみてください。で、正直に「興味がある」と伝えてみてください。いろいろ相談に乗ってくれると思います。 やまくじ狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp前の投稿2016年、わたしがほとんど毎日持ち歩いていたEDC(Everyday Carry)紹介次の投稿アウトドアのおもしろさはルールを自分で作れること、かもしれない山と渓谷社より書籍『山のクジラを獲りたくて』を出版しました。猟歴1年目から、単独で山に入り、イノシシを獲ろうと模索する様子を描いたノンフィクション本です。何も知らない状態から、山でいろいろ学び、挑戦し、獲物に近付いて行く様子を楽しんで頂ければと思います。 今村銃砲店オリジナルの弾丸、ペレット. 2018年に有志が集まり『佐々木銃砲釣具店ごみ拾い部』を結成。釣り場、駐車スペースなどのゴミ拾い活動をしています。誰でも参加いただけますので、興味のある方は、お気軽に当店までお問合せくださ …